昨年末に、いわゆる「キュレーション・サイト」の問題が浮上して、大騒ぎになりました。
以前から、ウェディングの分野のキュレーション記事を読むにつけ、そのクオリティに疑問を感じていたのですが、
私も、他分野に関してはそういったサイトを見て楽しんだり、問題の発端となった医療系のような専門性の高い内容ほど鵜呑みにしてしまっていました。
ウェディングに関する情報は、大きく2つのカテゴリに分けられると考えています。
1つは装飾や演出的なこと、1つはしきたりやマナー的なことです。
装飾や演出的なことについては、最終的には好みによる判断で決めることですから、
どんなサイトを参考にしても大問題になることは少ないでしょう。
(細かいことを言えばマナーに関わってくるような内容もあるのですが……。)
しかし、しきたりやマナー的なことは、間違ったことを鵜呑みにして取り入れてしまったがために、
結果としてゲストの気分を害したり、自分たちが恥をかいたりする結果にならない内容です。
これは、簡単に鵜呑みにせず、必ずその情報が確かかどうかをチェックする必要があるでしょう。
文章にせよ、TVなどの映像にせよ、世に出す前に「ウラを取る」という作業をするのが通常です。
これから発信しようとしていることが事実なのかどうかを、いろいろな方法で調べて、確かに正しい情報だと確認することです。
同時期に話題になったドラマで「校閲」というお仕事がクローズアップされましたが、校閲さんもいろいろな方法でウラを取っていましたよね。
方法は実際と大きく違ったようですが、目的は同じ。
私も、文章を書いたり、監修をしたりするお仕事をいただいているので、そういった場合には書こうとしていることが正しいかどうか、ウラを取る作業をします。
ブログやSNSなど、誰でも発信できるようになった現在では、個人的な見解があたかも正しいことのように書かれている記事が大量に検索でヒットする可能性が高まりました。
ウェディングは個人的なイベントなので、個人のブログやSNSなど、そういった情報も多いのが事実です。
ということは、情報を受け取る側がその情報が正しいのかを確認する=ウラを取る作業をする必要も高まってきたということになります。
せっかくなので、私が確認作業を行う場合のチェックポイントを書いておきますね。
先に言っておきますが、かなり長いものになってしまいました。
覚悟してお読みください。
1.情報の発信源は信頼できるか?
雑誌でもWebでも、その文章を誰が書いているのかは必ず記載されているはずです。
キュレーション系のサイトでも、誰が発信しているのかは確認することができますよね。
何かしらの文章に行きあたった時、誰が書いているのか、書き手がどんな人なのかは必ず調べるようにしています。
実名(ペンネーム)の場合と匿名の場合がありますが、匿名の場合はプロフィールが正しいかどうか確かめようもないので、基本的には参考にしないようにします。
仮に書き手のプロフィールに「プランナーです」と書かれていても、そこにそう書いてあるだけでは本当にそうかどうかわかりませんよね?
キュレーションサイトの場合、書き手が「素人」のケースが多いようで、その書き手を信頼するかどうかが問題です。
先日、ウェディング系の某キュレーションサイトの「キュレーター」をチェックしてみたところ、そのプロフィールは「元花嫁」「大学生」「プランナー」というラインナップになっていました。
信頼度の順に示すとすれば、プランナー>元花嫁>大学生ということになるでしょうか。
「元花嫁」さんはあくまで自分の結婚式を準備した経験しかなく、様々なケースに対峙してきたわけではないので、その人にとっては正しいが、一般的には正しいとは言えない情報を書いているケースも多いです。
大学生や専門学校生で、ウェディングの勉強をしているという人もいるかもしれないので、そういう場合は元花嫁と信頼度が逆になる場合もあるでしょうが、実際にお客様に接したわけではなく、一般的な知識を入れただけの段階ですから、あまりレベルの違いはないと思います。
そしてプランナーは全て信頼できるのかというと、経験年数が1年未満から数十年まで様々ですし、経験してきた内容による違いもあるので、難しいところ。
私たちは文章の内容を読んで、時代的なことなどと照らし合わせてなんとなくその人の経験値を推し量った上で判断できるのですが、
一般の方にはなかなかわからないこと、実に悩ましいところです。
いろいろ読んでみて感じたことですが、「断言系」の書き方をしているものは注意が必要ですね。
(と、私も断言しちゃっていますが、個人的な分析から)
ウェディングはケース・バイ・ケースであることが前提なので、そこ断言しちゃまずいでしょ、というところでもきっぱり言い切ってしまっているものは、書き手を見ると素人さんや個人が特定できない「プランナー」であることが多いです。
個人が特定できる「プロ」であっても、答えが1つではないものに「断言」している人もいますので、ご注意ください。
ちなみに、企業が運営するメディア(オウンドメディア)の場合は書き手は記載されていないこともありますが、
そういった場合は、発信源はその企業そのものということになりますので、責任の所在も企業そのものにあります。
大きい企業のサイトなら大丈夫、と今までは思えたのですが、昨年末の一件でそれも危ういものとなってしまいました……。
2.タイトルが過大表現や事実と異なる表現ではないか?
つい最近見かけた記事のタイトルに「最近人気のテーブルスピーチ」とありました。
何か新しいやり方があるのかな?と思って読んでみると、目新しいものでもなんでもないのです。
もちろん私もコラムやブログで使います、「最近」という言葉(笑)
「最近はこういう演出が人気」とか「最近はこういった傾向が見られます」とか。
でも、検索していてよく見かけるのは、古くからあるもの・ことに「最近」をつけることでキャッチーにしているな、と思うような内容の記事です。
テーブルスピーチは15年以上前から既に行われていて、別に新しい演出ではありません。
私が見た記事は、タイトルを見た人が「最近人気」という文言に反応してクリックするのを狙ったタイトルでしょうね。
テーブルスピーチについて調べている人がクリックするのなら問題のないものなのですが、
最近人気の演出を調べている人がこれを見たとしたら話が違ってきます。
最新の演出なんだ!と思って取り入れたのに、私のお姉ちゃんもやったよー、とか、いとこの結婚式でもやってた、と周囲に言われたらがっかりですよね。
実際、私も会社にいた頃から結構おすすめしていました、テーブルスピーチ……。
そのおふたりに合うなら今でもおすすめしますし、いい演出は古くはならないと思いますが、
最新の演出か?と問われるとそうではないので、今アップする記事に「最新」と書いたら、ウソの記事になってしまうわけですよね。
テーブルスピーチに関する記事を複数読んで、正しい情報かどうかを見極めないといけません。
「最近」と書いてある内容は本当に「最近」か?
キャッチーだからウソを書いていいということにはなりません。
ウソを平気で書けるということは、信頼しないほうがいいサイトだと考えたほうがいいのではないかと思うのです。
3.出典や引用元を確認する
いわゆる「パクリ」をしていないかどうかも、信頼性を計る指標になると思います。
ただし、それはダメでしょうと考える人もいれば、それでもいいやという人もいるかもしれません。
でも、適切な出典や引用をしないサイトは、記事のウラも取っていないことが多いので、タイトルと同じく信頼しないほうがいいサイトであると考えます。
InstagramやPinterestから画像を転載している記事はそれこそ山のようにあります。
私も、ブログからお客さまのウェディングの画像を転載されていて、アクセス解析で判明したこともあるのですが、
画像の引用元リンクは張ってあるものの、どこから転載したかは明記されていません。
気にせずにその記事を読んだら、恐らくその記事の主がプロデュースしたウェディングだと思う人もいるでしょう。
そして、出典や引用元を明記しないサイトの多くは、それを確信犯でやっているはずです。
(少なくとも私はそう思っています。)
美しい写真や面白い写真がサムネイルに入っていれば、よりキャッチーになることはわかっていても、
やっぱり人様の写真を平気で自分のもののように使うことはできないなぁと思います。
誰かのウェディングの写真なら尚更です。
SNSの写真はフリー画像ではないですから。
ここまでくると、正しいかどうか以前に、モラルの問題になってしまいますし、
前述したように、装飾的なことなら間違いをつかんでしまうリスクはぐっと減るのですが、
信頼するサイトから情報を得ようと思うなら、そのサイトのモラルを確認して参照するといいかもしれません。
かなりの長文になってしまいました、お付合いありがとうございます。
この問題については、書き手の問題にもつながるんですよね。
プロの「ライター」という仕事はそもそも何ぞや?ということを、編集者の友人と話したのは、
キュレーションサイトなどで書いている「ライター」は果たしてライターなのか?
私自身も書く仕事をいただいてはいるものの、ライターとして書いているわけではないという意識でして……。
これを書き出すと長くなってしまうので、また別の機会に。
情報は精査してから取り入れる、そんな時代になってしまったのですね。
私も、他分野の情報についてもっとしっかり精査するようにしようと思います。