AIでいいウェディング 人でなければならないウェディング

これは私が前から考えていることです。
そろそろAI(とまでは言わずとも、システム上)でポチポチとボタンを押していけばウェディングができるシステムがあってもいいと思うんです。
好きなものを組み合わせるだけで結婚式ができ上がる。
これは別に新しいことではなくて、25年前の結婚式ってそうやって作っていたなぁと。

装花を例に挙げるのが最もわかりやすいと思うのですが、私が仕事を始めた25年くらい前の装花の打ち合わせとは、プランナーがお客様に装花のアルバムを見せて、ボリュームと色を選んでもらうことでした。
「A・B・Cどのタイプにしますか?」
「色は何色がいいですか?」

色味で迷う方に、お好きな色を伺ったり、ドレスの色などに合わせておすすめしたりすることはありましたが、今ほど複雑なご要望はない時代だったので15分もあればご決定いただけました。
(複雑なご要望が出てきた場合は花屋さんの登場です。)

AIが合うお客様は両極端の2タイプ

今でも、それで充分というお客様がいらっしゃると思います。
こだわりがないわけではないけれど、人と違うものは求めていない、という層です。
事例写真やフェアのショールームからチョイスして決まるケース、今も少なくはないですよね。
これがAIでいいウェディングが合うタイプのお客様、1つ目。

そして、2つ目。
こだわりが強い層の中に、提案をもらって決めるよりも自分で好きなものを集めていきたいという層がいます。
そういうお客様は、インスタユーザーに象徴されるように「自分の好きなものを集める」という行為が大事です。
私は、これはフリープランナーが最も響かない層だと思っているのですが、実はまとめていくのがとても難しく、提案のしかたを間違えると強要と受け取られて逆効果になりかねない。
だからこそ、自分の好きな時間に、自由に選べるシステムのほうがより楽しんでもらえると思うのです。

打ち合わせをなくす可能性

以上、2つは両極端とも言える客層なのですが、どちらのタイプのお客様も自分がこれと思うものをポチポチすることで完結できる方たちだと思います。

打ち合わせ回数を絞っている会社・会場にぜひ提案したいのです。
思い切って打合せを撤廃して、システム上でポチポチと選んでもらうだけにしてはどうでしょう。
これならプランナーは不要です、手配と最終確認をする人がいればOK。

進行づくりはどうするんだ、と思う方もいると思いますが、ベースとなる進行表を基にする・しないを選択すればたたき台が作れます。
司会者がそれを基に全体を調整し、TEL打ち合わせで最終確認をすれば十分です。
今でも一般的な進行が印刷された進行フォーマットを使って、司会者のみが打ち合わせをする会社・会場は多いと思いますが、それと変わりません。
オリジナルの進行と言っても、ゼロから作るわけではない。
マナーやしきたりを考えれば、崩していいところと崩すべきではないところがありますよね。
「型破り」にはしても「形無し」ではいけませんから。
それらを盛り込んだセオリー的進行はどの会社・会場も持っていると思いますし、そのベースがあるからこそ、新人プランナーでも打ち合わせができるのです。

私が在籍していた会社の社長は「手配係はいらない」が口癖でしたが、その逆ですね。
提案がいらない方にとっては、手配係がいればいい。
プランナーがつかない分、人件費分を安くしてあげられますし、お客様も営業時間などに縛られずに済みます。
お客様にも会社・会場にもメリットがありますよね。

ただし、会場のコンセプトやテーマと徹底的にリンクさせたアイテムとラインナップが必要になります。
セールストークなしで買ってもらわないといけないので、単価アップをしようとするなら商品構成の作りこみは十分にしておく必要があります。
昔と違うのはこの点です。
情報が氾濫し、お客様の知識量が段違いになっていますから。

25年前、私がいた式場では新たな商品として装飾テーマを持つ装花プランを作りました。
これがとても人気で、プランナーとしてもおすすめしやすかった。
正直、今いろいろな会社や式場で提案されているのはその装花プランとあまり変わらないような印象ですし、内装にコンセプトが明確に設定されている今のほうがテーマ性のある装飾プランが作りやすいようにも思います。

AIとの差別化ができるプランナーだけが残る

さて、前述の社長の「手配係はいらない」はとても大事なことです。
プランナーの存在意義の大部分は提案であり、それを求めているお客様もいらっしゃいます。
人が相談に乗っていく必要があるお客様には、 プランナーが打ち合わせを行い、きちんと提案が付随するプランが必要ですね。
また、がっちりカスタマイズもできなければいけません。
選択式のプランと商品でできればいいのですが、カバーできない可能性もあるからです。
パートナー会社にも提案力を求められますし、ラインナップが同じでは持ち込みが増えるかもしれないですよね。
ラインナップは同じままにして持ち込みを許容するか、ラインナップを分けて持ち込みを防ぐ提案ができるようにするか、スタンスを明確に決めることも大切だと思います。

プランナーを置かなくてもできるしくみにすれば人件費の削減が可能、手配係がいればよくなりますが、プランナーの雇用機会は減りますね。
逆にプランナー対応をデフォルトにするなら金額も上がるでしょう。
ただし、人が介在する価値を感じてもらえるクオリティにしなければ意味はありません。

フリーランスも今後はさらに二極化していくだろうと考えます。
ルーティンワーク的な仕事に留まるプランナーと、本来の意味でのプロデュースをするプランナー、どちらを提供できるかで自分の単価も決まってくる。
ルーティンワークはこれからどんどんAIに取って代わられると予想していますので、自戒も込めてフリーランスとしてやっていくなら後者でなければいけないですね。

アフターコロナのお客様のニーズのために

ポチポチと選択すればウェディングができるシステム。
費用を削減したいというお客様のニーズはこれからどんどん増えるでしょうし、人材を減らさざるを得ない会社やリモートワークが必要なこの状況下にはぴったりだと思います。
やってみようという会社・会場さんがあればぜひ参画させてほしいなぁ。
お客様がワクワクしつつ、そつなく準備を進められるシステム、絶対できると思います。