新型コロナウイルスの感染拡大で、結婚式の開催にも大きな影響が出ています。
中止や延期にした方も、予定通り開催した方も、結婚式を控えたほぼ全ての方たちが悩みに悩んで決断されたはずですし、今まさに悩んでいる方もたくさんいらっしゃるでしょう。
そこで新型コロナウイルス関連の特別編を2つ続けてお送りしたいと思います。
今回は感染防止策です。
新型コロナの感染を防ぎつつ、安全に結婚式をするには、どんな対策が必要なのかをまとめていきます。
この状況下で結婚式の開催を決断する一番の根拠は「安全」だと思うんです。
会場やスタッフの対策が信頼できるものなのか、それを見極めるのにもお役に立てていただけたら嬉しいです。
※この記事は9月8日までに出された資料に基づいています。
新型コロナウイルスについて
新型コロナの主要感染経路は、
- 1~2mの範囲での飛沫
- 感染者との接触
- 空気感染
この3つです。
そして感染防止の基本も3つ、
- 身体的距離の確保
- マスクの着用
- 手洗いや手指消毒
が挙げられています。
結婚式もこの3つに基づいて 対策を行うことになりますが、具体的な方法に落とし込むには 理由や根拠も必要です。
それがわからないと有効なやり方にならない可能性があるからです。
業界のガイドラインは根拠が厚労省の指針のみだったので、別の業界向けのセミナーや資料も当たった上で
理由を入れた3つの対策をつくってみました。
- 飛沫を拡散させない、受けない
- 接触しない、接触したら手洗いや消毒をする
- ウイルスがいるかもしれない空気を入れ替える
そしてここでは、
- 食事を伴う披露宴がある結婚式で
- 新郎新婦がなるべくマスクをしないで済む
これを前提条件とします。
ではひとつずつ詳しく見ていきましょう。
1.飛沫を拡散させない、受けない
対策の基本となるのはマスクの着用、そして身体的距離です。
距離は、マスクを着用している状態で1m以上、できれば2m 開けるようにするというのが基本の対策でした。
厚労省からは「食事の場面では料理に集中、おしゃべりは控えめに」と指針が出されましたが、結婚式は会話をすることを前提に考えなければ場が成り立ちません。
また結婚式のような気分が高揚する場では、つい相手に近づいたり声が大きくなったりしますよね。
お酒が入ればなおさら気持ちの盛り上がりを制御するのは難しいので、近い距離で大きな声でおしゃべりをすることを想定して対策をすべきです。
挙式
ゲストは挙式が始まれば、声を出す場面はほとんどありませんし、会話をするにしてもヒソヒソ声になるでしょうから、マスクをつけて間隔を1m開ければ大丈夫ですね。
新郎新婦と式を進行する司式者は声を出しますから、その周辺はしっかり対策をしておきましょう。
私は、挙式は肉声で進める方が好きなんですが、どうしても大きな声を出すことに なってしまいますので、今はマイクを通して行うほうがよさそうです。
キリスト教式の聖歌や賛美歌については、ゲストは歌わず、聖歌隊だけが歌うようにしているところも多いようです。
披露宴
問題は披露宴、それも料理がスタートしてからです。
飲食をする際には唾液の量が増えて感染リスクがより高くなるそうなので、食事をしながらある程度大きな声で会話しても大丈夫なように対策すべきです。
会話を伴うとしても 2m以上距離を取れば安全なんですが、正直これは現実的ではないと思います。
計算上10名座れるサイズのテーブルでも、この距離を取ろうとすると2名しか座れなくなってしまうからです。
食事中に「会話をするならマスクをしてください」とお願いしても、忘れてしまう可能性も高いですよね。
パーテーションを立てるなどの追加策を取っておきます。
パーテーションの用意がない会場だったら、自分たちで持ち込むなどして対策をすることになります。
そして結婚式にはスピーチがつきもの、歌や楽器演奏が行われることもありますね。
ウェルカムスピーチや締めのあいさつなど、新郎新婦は必ずゲストの前で話をしますし 大事な場面でもあります。
メインテーブルとゲストテーブルの間隔は2m開け、メインテーブルの前にパーテーションを置けば、新郎新婦からの飛沫は止められます。
ゲストに近づく時にはマスクをすればいいでしょう。
ゲストにスピーチや余興をしていただく際にも、お顔が見えるように マスクを外してもらいたいですよね。
立ち位置と一番近いテーブルの距離を2mとって、マイクの前にパーテーションを立てれば、マスクなしでも大丈夫そうです。
司会者はマスクをしたままでもいいでしょうが、より安全に進めるためには同じように対策をしておけばいいですね。
「協力」と「周知」をする
ゲストにはできるだけ楽しく過ごしてほしいものです。
そのためには、対策を強制ではなく「協力」に、自ら進んで対策に参加しようという気持ちになっていただくのがポイントです。
招待状に列席にあたってのお願い事項を入れて、当日も司会者からアナウンスしたり、ノベルティーのようにマスクや消毒液を配布したり、楽しみながら対策できれば、ゲストにとってもいい思い出に変換できるはずです。
また、その場に集まる全員に、対策の必要性や正しい方法を理解してもらうことも大事だと思います。
街中で、話をするのにわざわざマスクをずらすような逆の行為をしてしまっている人も結構見かけますが、知らなくてやっていることなんだろうと思うんです。
本来なら声を出すときにこそマスクをつけなければいけないし、咳やくしゃみをするならマスクの上から咳エチケットをする。
そういう正しい知識を結婚式に来る前に知ってもらう、「周知する」ことも必要でしょう。
2.接触しない、接触したら手洗いや消毒をする
接触しなければ感染リスクそのものが発生しないので、まずは接触の機会を減らすことを考えます。
ゲスト個々に用意するもの以外には接触しなくて済むようにするのが理想です。
同じものを複数で使い回す機会や、手に触れないといけないものはできるだけなくします。
例えば、結婚式の受付は、たくさんの人が同じものに触れる機会が多い場所です。
署名用のペン、ご祝儀や席次表の手渡しなど、意外とたくさんの接触ポイントがあるんです。
受付のオペレーションには、結婚式以外の施設の対策も大いに参考になります。
スーパーやコンビニでは お金の受け渡しをトレーの上で行ったり、クレジットカードの端末への抜き差しを、店員さんではなく自分で行ったり、接触しない方法に変更するお店が増えていますよね。
やり方を変えるだけでなく、アイテムを減らすという方法もあります。
美術館などでは、コロナ禍を機にQRコードタイプのチケットに切り替えを進めているようですし、紙のチケットの場合はもぎりを お客様にやってもらって接触を減らしています。
ご祝儀はトレーに置いてもらう、配布するものは積んであるものから取ってもらう。
また、席次表については人数が少なければ作らなくても問題はありません。
受付の係の方については、まったく接触をなくすのは難しいと思います。
例えば、ご祝儀袋をトレーに置いてもらう方法を取ったとしても、差し出されたら反射的に受け取ってしまうでしょうし、ある程度の数が集まったら袋に収めなくてはいけません。
接触があればすぐに消毒をしてもらえるように、小さな消毒液を用意してお渡ししておけばいいですね。
手袋を用意しようと考える方もいるかもしれませんが、素手でこまめに手洗いや消毒をする方が安全性は高いそうです。
披露宴が始まると、ゲストの手洗いや消毒の管理は一気に難しくなります。
部屋の出入口、受付、化粧室などには消毒液が置かれるでしょうし、挙式や披露宴の開始前なら出入口を通過する際に、1人ひとりに消毒を促すことも簡単なんです。
でも、披露宴中にトイレに行った後など、誰かが張り付いて手洗いや消毒のチェックをするのは現実的ではありません。
これも周知の努力をして、ゲストに協力してもらうことが大事になると思います。
新型コロナが流行するまでは、正直お客様の手洗いや消毒はここまで重要視されていませんでした。
しかしノロウイルスやインフルエンザ、一般的な風邪でも、基本的な予防法に「こまめな手洗い」が 含まれています。
感染症流行の季節になると、結婚式場の裏側では手洗いやうがいはより強化されますが、食中毒の発生源がお客様というケースも 決して少なくはないので、スタッフだけが対策をしていても防ぎきれないんですよね。
新型コロナが収まったとしても、手洗いや消毒の励行は続けていくべきだと思います。
ウイルスがいるかもしれない空気を入れ替える
まだ根拠が十分とは言えないようですが、空気感染も新型コロナの感染経路の可能性があり、その対策として30分に1回以上、窓を全開にして換気をするのが有効とされています。
ただ、結婚式場には窓からの換気ができないところが結構あるんですよね。
自分の会場には窓がない、どうしようと思っている方もいるでしょう。
窓のない会場では機械によって換気されているので、あまり神経質にならなくてもいいそうです。
自分の結婚式場の換気方法について確認しておきましょう。
ちなみに、消毒剤の噴霧は効果が不確実な上に、人体に害を及ぼす可能性が高いのでやめるべきだそうです。
会場にいないからといって、自分で機材を持ち込んで使用させるようなことはしないでくださいね。
加湿器や空気清浄機は入れておいて害のあるものではないですが、根拠に乏しく効果は期待できないようです。
信頼して委ねられる結婚式場を選ぼう
3つの対策を詳しく見てきましたが、自宅などで結婚式をするのでなければ、利用する結婚式場の感染防止策に自分たちの安全を委ねることになります。
担当プランナーなどスタッフの言動は、その会場の知識レベルに直結しているので、最も分かりやすいバロメーター。
台詞のように覚えた説明だけではなく、質問をしてみて明快な答えが帰ってくるかを確かめるなどして、その式場の質を見極めましょう。
また接客の場面だけではなく、接客意識の薄い場面での動きもチェックしてみてください。
ロビーや館内のレストランなどで しばらく観察してみましょう。
看板やポスターなど目に留まるところに感染防止に関する表示があるか、スタッフからお客様へのお声掛けがあるか、スタッフ自身が消毒をこまめに行っているかなど、その会場の本来の考え方や 取り組み方が見えてくると思います。
挙式・披露宴の最中やセッティングの際の会場の消毒、スタッフの対策については どこもしっかりと説明すると思いますが、盲点になりがちなのは移動や待ち時間のこと。
新郎新婦がほぼいない場面のことなので見落とされがちです。
どんな手順でどういう対策をするのか 聞いておきましょう。
事前に分かっていれば、自分たちでできる範囲でゲストのための追加対策をすることもできます。
もし考え方が違ったとしても、自分たちの都合で結婚式場の全体的なオペレーションを崩すことはおすすめしません。
例えば前に挙げた、トイレから戻る方の手洗いや消毒。
これを徹底しようとすれば、消毒を促す係を出入口などに配置して、通過する全員に消毒をしてもらえばいいわけですが、そこまで潤沢にスタッフを配置できる式場はそうないでしょう。
配置のバランスを崩すことで歪みが生じて、そこが感染リスクになるかもしれません。
だからこそ、対策に関する詳しい情報を出さない式場は最初から除外をすべきです。
どんなに施設が気に入っても、対策が信用できないなら 結婚式を託すべきではないんです。
安全だという確信があれば、自信を持って結婚式を開催できますし、ゲストをご招待できます。
私も一組でも多くの結婚式を安心して開催してもらえるように、情報アップデートして新郎新婦の皆さんをサポートしていきたいと思っています。
ゲストに安心して来てもらえる結婚式になるように、前向きに準備を進めていきましょう!