(1)キリスト教式
キリスト教の神に誓いを立てるキリスト教式。
「人生を象徴する道」といわれるバージンロードを歩き、愛する人のもとに向かうシーンは多くの女性の憧れとなっています。
日本でキリスト教式が行われるようになったのは明治時代、欧米の文化が一気に入ってきた頃だと言われますが、第二次大戦後、ホテルや専門式場がチャペルを設置したのを機に、信者以外の新郎新婦にも広まりました。
キリスト教には教派がいろいろありますが、ウェディング会場に併設されたチャペルや、信者以外でも受け入れてくれる街の教会の多くはプロテスタント。
カトリックは基本的に信者に対してのみ挙式を行うのですが、信者以外の挙式を受け入れているところも一部あります。
キリスト教式の式次第はどこもほぼ一緒ですが、順番や讃美歌を歌うかどうかなどの細かい内容は少しずつ異なります。
なお、一般の教会(チャーチ)では多くが「結婚講座」に参加して勉強してから挙式に臨むことになります。あくまでも信仰のための場所であって結婚式場のチャペルとは性質が異なる場所なので、そのルールに従うようにしましょう。
(2)神前式
日本の神に誓いを立てる、神道の挙式が神前式。
明治33年の大正天皇のご成婚を機に、一般に広まりました。
古くから日本の挙式(祝言)の要として受け継がれてきた「三々九度」は、日本の結婚式の源流とも言える儀式で、仏前式にも取り入れられています。同じ器から食物を分け合い、強い絆を結ぶという意味が込められています。
私たち日本人にとって神社は身近な存在です。
初詣やお祭り、通過儀礼でのお参りなど、節目ごとにお参りしているという人も多いはず。
神前式は日本人の心を再認識できる挙式だと言えるでしょう。
神前式をするなら、おふたりやご両家に縁のある神社で挙式をするのが最も理にかなった選択だと思いますが、神社によって祭神も異なるので、そこに着目して選ぶのもおすすめです。
(3)人前式
読んで字の如く「人の前で行う式」で、宗教に拠らず、参列するゲストを「立会人」として誓いを立て、承認を受けるのが人前式です。
戦前まで日本では、自宅(新郎宅)の床の間の前に新郎新婦が座り、参列者の見守る中で三々九度を行う「祝言」という挙式が一般的でした。人前式はこれに最も近い感覚の挙式かもしれません。
特定の宗教の信者ではないので宗教色のない挙式をしたい、大切な方々全員に参列していただける挙式をしたいなどの希望で選択される方が多い挙式スタイルです。
人前式には挙式としての決まりごとも特にないので、自分たちで自由に組み立てることができます。
シンプルにするなら「誓いの言葉」と「指輪の交換」だけでも挙式として成立します。
自由にできるからこそ何をやっていいのかわからない、というのが人前式を選択された新郎新婦のお悩みでしょう。
人前式を行う上でのポイントは、
- 参列者に「立会人」とは何かを理解してもらうこと
- 短すぎず長すぎない時間で行うこと
- 挙式としての厳かさを多少なりともプラスすること
- ふたりらしさを感じさせる内容を入れること
会場にも定番の式次第やおすすめのセレモニーがあるはずなので、それらをアレンジするのもいいでしょうし、これだけは絶対取り入れたい!というものがあれば、それを中心に進行を考えてもよいでしょう。
ただし、あんまりサラッと進んでしまうのもセレモニーとして物足りず、参列者もよくわからないままになってしまいます。
肝心なのは見せ方、つまり「演出力」がとても大切になるのです。
おふたりにまつわることをセレモニーに取り入れると、自分たちらしい人前式を作ることができます。
また、ゲスト全員に参加してもらうような内容を取り入れると、ゲストに立会人の自覚を持ってもらいやすく、より印象深いものになるはずです。
(4)仏前式
仏教の教えに則った挙式が仏前式。仏と先祖に感謝し、誓いを立てるというものです。
お寺のお堂や自宅の仏壇の前で、僧侶が式を行います。
仏前式でも神前式と同じ「三々九度」を行うのですが、仏前式では「式杯(しきはい)」と呼ばれます。また、盃をいただく順序が神前式と逆になります。
仏前式で重要な儀式とされるのが「念珠授与」、つまり数珠を授けられる儀式です。新郎には白い房、新婦には赤い房の数珠が授けられます。
「輪廻転生(生まれかわり)」の思想がある仏教では、縁の深い人とは来世でも結ばれると考えられており、挙式でも現世だけでなく、来世までの結びつきを願います。
仏前式を選択するのは、両家のどちらかに仏教関係者がいるケースがほとんどで、一般にはあまり仏前式の存在は知られていませんが、日本人の習慣に根付いた仏教の考え方は心にしっくりと馴染みやすいと感じられるかもしれません。
本来は菩提寺で行うものですが、有名な寺院等では広く一般に結婚式を受け入れています。