先日、とある都内の庭園にロケハンに行きました。
秋のいいシーズン、紅葉も美しいその庭園では和装のウェディングフォトの撮影が行われていて、
周囲のお客さまも、「きれいね!」「おめでとう!」と祝福していて、
私たちも、あ、花嫁さんがいる!と嬉しい気持ちになったのです。
庭園を巡るうちに、その撮影のすぐ近くに行く機会があったのですが、
残念なことに、ご新郎の長襦袢の襟が曲がったままになっていて、袴もシワだらけ。
メイクさんに加えて、着付けさんか介添さんか、という感じの年配の女性が近くにいるのに、誰も直さないまま撮影が進んでいます。
カメラマンも気にならないのか、指摘もしていないよう。
そもそも、ご新婦の裾を整えるのに、中が見えてしまうくらいにバサバサと裾を翻して形を作っている。
女性の、それも花嫁の着物の裾を、公の場でたくさんの人の目に入る場所で、デリカシーのない触り方をしているのがとても嫌でした。
カメラマンも男性だったし、そういう光景が気にならないのかな?と疑問だらけでした。
和装は、日本人であっても身近なものではなくなっていて、
どういう状態がきちんと着ている状態なのかがわからない方のほうが多いと思います。
留袖姿のお母さまですら、ひどい着崩れをしてしまっていてもわからずにそのままになさっていることもあるので……。
だからこそ着付けや撮影をする側、周囲のスタッフも含めて、皆が美しい状態を保ってあげなければいけないと思うのです。
着付けの上手下手の問題以前に、見た目としてどうなのかはすぐに知識として覚えられること。
襟が折れ曲がったままの写真を一生の思い出にどうぞ、と言われたらどうでしょう?
親御さまやご親族がご覧になって、何これ!?と思うかもしれません。
そして、写真さえ撮ればいいと思っているかのように見える、スタッフの方たちの行動に怒りを覚えました。
このおふたりにとっては特別な1日の特別な1枚。
楽しみにしている親御さんも向こうにいるのです。
知識は当然ながら、特別な1日を一緒に大切に扱う意識をもってもらえないものだろうか、と思ったのでした。
カメラマンも普段着だったし、もしやお友達なのかな?とも思いましたが、
だったら着崩れたままになんかさせないはずですよね。
今後のために、しれっと会社名でも聞いてくればよかったと思ったくらいです。
ビジネスとしてウェディングを手掛けるのは自由です。
でもさ、やるならちゃんとやろうよ!
撮影の光景を見ていて、心底そう思いました。
そして、私はちゃんとしている方と仕事ができているんだなという感謝の気持ちも同時に湧いてきたのでした。