毎年、中秋の名月の日に開催されている、
日枝神社の「中秋管絃祭」にお邪魔しました。
あいにくの雨模様。
境内ではなく、本殿に場所を移して行われました。
観客があふれている状態でしたが、早めに来たので前のほうで拝見できました。
まず、神職の方をはじめ、演者の方も並んでのご祭儀。
神前には菊やすすきが飾られて、お月見の風情ですね。
最初は、雅楽の演奏から。
「平調音取(ひらじょうのねとり)」、「林歌(りんが)」の2曲が演奏されました。
「音取」というのは、各楽器の調子を取る、つまりチューニングをするための、いわば前奏曲のようなもの。
楽器のチューニング作業を短い曲として様式化したものなのですって。
「平調」は音階、続けて演奏する曲の音階の「音取」でまず雰囲気を作るのだそうです。
曲として聴かせながら、調子を整えるなんて、なんと雅やかな発想でしょう!
続いて、巫女さんが舞う「神楽舞」です。
剣を持って舞う「剣の舞」。
季節の花を挿頭、そして手に持って舞う「悠久の舞」。
昭和天皇御製、香淳皇后御歌に曲をつけた、神社独自の「日枝の舞」。
巫女舞はやはりとても華やかで可愛らしい。
結婚式でも巫女舞は人気があります。
古事記にある、天鈿女命(あめのうずめのみこと)の天岩戸の神話に由来するといわれる神楽舞。
神様をお慰めするための舞ではありますが、一緒に見ているこちらも和んだ気持ちになりますね。
最後に「舞楽」です。
日本古来の音楽と、中国や朝鮮半島から伝来した音楽の影響を受けて確立した雅楽が大人数で演奏され、迫力を感じました。
空きを見つけて舞台となった本殿の上段に上がらせていただいたので、美しい衣裳や舞を近くで堪能できました。
舞台の浄めの役割があるという「振鉾(えんぶ)」。
周の武王が戦勝を神に祈った様を舞いにしたものだそうです。
手に五色の毬打(ぎっちょう)というスティックを持って舞う「打球楽(だきゅうらく)」。
途中から、やはり五色の球が出てきます。
「毬打」を調べてみたら、お正月などに行われた槌で毬を打つ遊びだそうで、江戸中期あたりまで存在したようです。
平安以前は乗馬して行われたとか。
ということは、ポロのようなスポーツだったのでしょうか?
最後に、美しい装束で舞う「古鳥蘇(ことりそ)」。
その名前は渤海国にあった地名からきたものだそうです。
舞楽を生で見るのは確か初めてだったのですが、
源氏物語をはじめとする平安文学の要素としては欠かせないもの。
青海波を舞う光源氏と頭中将の様子は有名ですが、
袖のひと振りにもその場にいた女性がため息をついたという光源氏は、さぞかし美しい舞手をイメージして書かれたのでしょうね。
ゆったりとした舞姿を、そんなことを思い浮かべながら見ていました。
日枝神社の本殿をじっくりと拝見できたのも、雨だったからこその嬉しい出来事。
草花や鳥虫の絵が123枚はめ込まれた天井絵も、上拝殿、下拝殿ともにじっくりと見られました。
この会には、雑誌『日本の結婚式』の編集長に連れていっていただきました。
この間は歌舞伎もご一緒して、すっかり伝統文化三昧です。
ありがとうございました!
現在、店頭に並んでいる『日本の結婚式』16号では、日枝神社を紹介するコラムを書かせていただいたんです。
結婚式の情報とは別に、神社の由来などを紹介していますので、ぜひ手に取ってみてくださいね。